2022.02.16

日蓮宗と武田信玄

日本で知らない人がいないと言っても過言ではないくらい有名な戦国武将「武田信玄」。


長野、山梨を拠点として当時絶大な力を持っており、あの織田信長でさえ恐れたと言われています。
そんな武田信玄は、日蓮宗の総本山である身延山を武田家の支配下に置くべく攻めようとした事がありました。

鎌倉、室町、戦国時代と時を重ね身延山は、時の有力者の加護をうけ大きな境内地を領する様になり、その伽藍も壮大な物でした。それに目を付けた武田信玄は身延山を城塞にすべく、山を明け渡す様に命じます。

身延山は日蓮宗の総本山であり、日蓮聖人のご遺骨を安置している聖地ですから、もちろん身延勢は断固反対抵抗します。信玄は身延攻めを決意し、身延山に向け軍を進めますが、突如、早川が氾濫して武田軍の進行を妨げます。一子勝頼も流されそうになったと伝わります。また身延山の山頂、奥の院から、身延山の鬼門を守る七面大明神が祀られている七面山の峰々に突如軍勢が現れ、驚いた武田軍は攻撃を断念し退却を余儀なくされてしまいす。その様子をしめした額が七面山敬信院に御座います。

法華経には、仏法の正しい教えを護る者を、諸天はその仏道を妨げる物を排除し加護を加えるとの教えがあります。
信玄が身延を攻めた際、早川の氾濫の上から七面大明神が現れ「仏敵信玄」と矢を放ち信玄の頭に当たったとの逸話が御座いますが、武田家の家臣の中には身延山と縁深き武将も居られた事と拝察され、法華経の一説「諸天昼夜、常為法護、而衛護之、天諸童子、以為給仕、刀杖不加、毒不能害」の如くになるのではと、家来の内には寺を攻める事を反対する意見もあったかと推測されます。実際に矢が刺さったというより、七面大明神の正しき教えの矢が信玄の頭脳に届いいたと言う見方が良いかもしれません。

信玄は、その教えの如くに守られた身延山久遠寺の霊験顕著なる信仰の証に感銘し、身延山久遠寺と和睦、山内に武田家の武の字を入れた武井坊と言う坊を建立し、武田家の祈願所としました。
また、上杉謙信との戦に一子勝頼を出陣させた際に、子を思う信玄は、身延14世日鏡上人より贈られた紺紙金泥(こんしきんでい)の法華経を身につけさせて出陣させました。川中島で謙信の率いる一万騎の軍勢と相対しましたが、戦を交えず敵の大群は逃げてしまい、法華経の神仏の加護有るとして、坊を建立し祈願所としたとも伝わります。(現在の武井坊)

令和3年は武田信玄が生まれ500年となり、山梨県を中心に様々なイベント企画がなされているようです。その一つに映画「信虎」があります。その信虎も身延山に家臣と共に参拝した記録が御座います。
この映画は、信玄の父、武田信虎から信玄、勝頼に至る、武田家親子三代のお話ですが、その中で金色のお題目の紺のかぶり物をした武田勝頼が出てくるそうです。これが武井坊に伝わる紺紙金泥(こんしきんでい)なのでしょうか?映画は武田信玄の450回忌の令和4年まで各地で上映されます。

不思議なご縁で令和3年は日蓮聖人がお生まれになって800年を迎えました。
この慶事にあわせ日蓮宗では歌舞伎「日蓮」をはじめ様々な企画がなされ、令和4年をもって降誕800年の事業は一区切りを迎えますが、武田信玄生誕500年と日蓮聖人生誕800年に深いご縁を感じて頂き、武田信玄ゆかりの身延山久遠寺をはじめ、七面山敬信院、身延山奥の院、武田家祈願所の武井坊など有縁のお寺に参拝し、また各々の事業を通し見聞を広げて頂けたら幸いです。

そして10年後には日蓮聖人の750遠忌を迎えます。
令和4年度より日蓮宗では、山梨県の武田信玄450回忌同様に、日蓮聖人750遠忌に向けてあらたな事業展開がなされます。そこでは、あらたな出会い、気付きがあり、生きる楽しみ活力となります。

今後の日蓮宗の事業展開に、どうぞご期待ください。

身延山 久遠寺HP https://www.kuonji.jp/
七面山 敬信院HP https://www.kuonji.jp/shichimenzan/shichi-tokei.htm
身延山 奥の院HP https://www.kuonji.jp/okunoin/
身延山 武井坊HP https://www.takeibou.com/

つづけて見て欲しい

あんのん基⾦」は、⼈々の笑顔を増やす⼤切な基⾦です

すべての人の苦しみを除き、喜びを願う気持ち。これは、仏教徒の基本精神です。日蓮宗では、このように他者の幸せを願い、そのために自らが行動する慈悲の精神にのっとり、社会活動を支援しています。
「あんのん基金」は、様々な社会活動・地域貢献・国際協力を行う団体や活動を支援する大切な基金です。戦争、天災、貧困、環境などの諸問題に対峙する世界中の方々へ、民族や宗教、文化の違いを超えて最も有効な支援を届けること。そして明るい社会を育て、人々の絆と笑顔を増やしていくこと。一人ひとりの小さな善意がこれらを実現し、明るい社会をつくる大きな一歩となります。
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