九州教区大会開催!
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ 夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ・・・」
宮沢賢治氏を代表する詩文だが、この詩文の結び「サウイフモノニワタシハナリタイ」の後に、「南無無辺行菩薩(なむむへんぎょうぼさつ)・南無上行菩薩(なむじょうぎょうぼさつ)・南無多宝如来(なむたほうにょらい)・南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)・南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)・南無浄行菩薩(なむじょうぎょうぼさつ)」と日蓮聖人が顕(あら)わした曼荼羅(まんだら)が記されているのは、あまり知られていない。
この詩文のモチーフとなったのは、妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)に登場する『常不軽(じょうふきょう)』という菩薩である。常不軽菩薩は、目の前に現れる人に仏心を見出し、ただひたすら手を合わせ、礼拝することに専念された。その姿を尊いと受け入れる者がいる一方で、馬鹿にするなと憤怒し、傷付けようとする者もいたが、それでも常不軽菩薩は手を合わすことを止めなかった。そして、常不軽菩薩は仏となった。
心地よい爽やかな風の吹く秋晴れの平成30年11月28日、8県より約3000名が福岡サンパレスに集結し開催された九州教区記念大会は、この常不軽菩薩の言葉、
「我れ深く汝等(なんだち)を敬う。 あえて軽慢(きょうまん)せず。所以(ゆえ)はいかん。汝等皆な菩薩の道を行じて、まさに作仏(さぶつ)することを得べし。」
の一同斉唱で、幕を開けた。
チェリスト・吉川よしひろ氏が、この世界に菩薩が涌き出るイメージで即興演奏し、それにのせて、法華和讃(ほっけわさん)が奉唱され、慶讃法要では日蓮宗大本山 池上本門寺貫首・菅野日彰管長猊下を大導師に厳修(ごんしゅ)され、日蓮聖人への報恩感謝(ほうおんかんしゃ)を述べると共に、 近年頻発した九州各地の災害犠牲者へ供養が捧げられた。
法要の後には、女優・紺野美沙子氏の表情豊かな語り口の朗読、またピアニスト・中村由利子氏の即興演奏で、会場は感嘆の声に包まれた。中でも、大会のために哲学者・遠藤均氏が書下ろした『日蓮聖人と宮沢賢治を結ぶお題目』の朗読は、賢治の深い信仰が語られた後、 常不軽菩薩の精神が表現された『雨ニモマケズ』 で締めくくられており、参加者はより身近に安穏な世界づくりへの使命を感じていた。
今大会は、法要と朗読の2本柱で展開され 日蓮聖人が目指された立正安国(りっしょうあんこく)を解説するアニメーションや写真を存分に用い、チェロやピアノの生演奏で雰囲気を作り、「敬いの心を持つことの大切さ、安穏な世界づくりに向けてのそれぞれの自覚」のイメージ共有に徹した。
菅野管長猊下は「法華経・ お題目で、生きとし生けるものに久遠の平和が訪れますよう一丸となって精進すべき時代である」と御親教(ごしんきょう)され、参加者は「法要で報恩感謝を捧げられたことへのありがたさ、そして、立正安国のために自分ももっと関わっていかなければならないと感じた。」との感想があったように、一人ひとりの心に訴えかけた大会となった。
「あんのん基⾦」は、⼈々の笑顔を増やす⼤切な基⾦です
すべての人の苦しみを除き、喜びを願う気持ち。これは、仏教徒の基本精神です。日蓮宗では、このように他者の幸せを願い、そのために自らが行動する慈悲の精神にのっとり、社会活動を支援しています。
「あんのん基金」は、様々な社会活動・地域貢献・国際協力を行う団体や活動を支援する大切な基金です。戦争、天災、貧困、環境などの諸問題に対峙する世界中の方々へ、民族や宗教、文化の違いを超えて最も有効な支援を届けること。そして明るい社会を育て、人々の絆と笑顔を増やしていくこと。一人ひとりの小さな善意がこれらを実現し、明るい社会をつくる大きな一歩となります。
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