歌舞伎と日蓮宗 ~加藤清正~
六月大歌舞伎 第三部「日蓮」公演まであと10日となりました。
新型コロナウィルスの感染状況は予断を許さない状況が続いております。
公演を楽しみにする反面、ご心配な面もあるかとは拝察致しますが、歌舞伎座さまの感染対策をはじめ、出来る限りの対策に努めております。
観覧予定の皆さまにおかれましても、常に最新の状況を確認することをお願いしています。
さて、ここでは歌舞伎をより楽しめるよう「歌舞伎と日蓮宗」の関係にスポットを当てた情報をお届けします。
(画像注:切り絵師 百鬼丸さん)
加藤清正を題材にいた歌舞伎の代表的な演目は、秀山十種にかぞえられる「二条城の清正」「蔚山城(うるさんじょう)の清正」「熊本城の清正」「清正誠忠禄」などが御座います。
加藤清正は、豊臣秀吉の親類あたり豊臣家を支える為に生涯を貫いた方、忠義の士であり、また、陣旗や兜にお題目を入れるなど熱烈な法華経の信篤者で有る事は有名です。
槍一つで熊本52万石の大名となった武勇のイメージが強い方ですが、人情味あふれる逸話は多く残されています。
肥後の城主になるきっかけは、一揆平定の際、武勇で鎮圧するのでは無く、慈悲をもって説得すれば必ず聞いてくれると言い、話し合いでの平定に成功した功であり、また、一揆に加担した農民も許した為、農民達は一揆後の復興の大きな力となったと伝わります。
また、小西行長とは、法華信者とキリシタンとの確執と言われますが、キリシタンであった大村氏や黒田氏のお取潰しの危機には、法華の信者として匿い、お取潰しを免れた逸話もあります。
国を思い、民をまもり、平和願う人には寛大であり、慈悲深い仏の教えを大切にされた方でありました。そうした人情味あふれる加藤清正は歌舞伎の演目としても大いに人気があったようです。
加藤清正は、朝鮮出兵の際に、王子を二人捕らえますが、その王子を丁重に返還して、王子からお礼の書状が届いたそうです。また二人の朝鮮人の子どもを引き取り日本で育て、僧侶に出家させています。後の日遥上人、日延上人ですが、学林にまなび大いに仏法を広める活躍をなされます。
日遥上人は加藤清正公の墓所がある熊本の本妙寺の第三世となり、生前中の清正公につかえるが如くにご供養なされたそうです。熊本での清正公の人気は絶大で、神格化され今でも身近に親しまれています。清正公の墓所から熊本城までの間には、大きなビルが建たないそうです。そうした条例は無いのですが、熊本県民の心意気を感じます。是非、熊本城と共に確認してみて下さい。
日延上人は、千葉県小湊大本山誕生寺の十八世の貫首になっています。また、港区白金に清正公を祀り菩提を弔います。白金の覚林寺ですが、国道一号線の交差点は今なお清正公前となっており、地域に根付いた歴史ある信仰を伺い知れます。
本年は日蓮聖人が小湊誕生寺でお生まれになって800年になる降誕800年の慶事です。歌舞伎の演目を見た後には、誕生寺をはじめ、ご縁のあるお寺に是非お参りになってみて下さい。
まだまだ沢山の由緒寺院が御座いますので、お調べになって見聞を広げて頂けると幸いです。
小湊誕生寺:http://www.tanjoh-ji.jp/
熊本本妙寺:http://www.honmyouji.jp/
「あんのん基⾦」は、⼈々の笑顔を増やす⼤切な基⾦です
すべての人の苦しみを除き、喜びを願う気持ち。これは、仏教徒の基本精神です。日蓮宗では、このように他者の幸せを願い、そのために自らが行動する慈悲の精神にのっとり、社会活動を支援しています。
「あんのん基金」は、様々な社会活動・地域貢献・国際協力を行う団体や活動を支援する大切な基金です。戦争、天災、貧困、環境などの諸問題に対峙する世界中の方々へ、民族や宗教、文化の違いを超えて最も有効な支援を届けること。そして明るい社会を育て、人々の絆と笑顔を増やしていくこと。一人ひとりの小さな善意がこれらを実現し、明るい社会をつくる大きな一歩となります。
日蓮宗では、教師・檀信徒はもとより、多くの方々に広く支援を呼びかけてまいります。
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