2021.06.28

六月大歌舞伎 第三部『日蓮』観劇記vol.11 和泉 元彌さん

六月大歌舞伎 第三部『日蓮』観劇記第11回は狂言和泉流二十世宗家の和泉元彌さんです!


現代の私たちが共感できる「生きた言葉」と
日輪を背負う日蓮聖人に
希望の光が見えました


 市川猿之助さんをはじめ役者の皆さん、演出、脚本とすべてが素晴らしい舞台でした。

 特に印象的だったのは、日蓮聖人が繰り返す「かたじけない」という言葉。日蓮聖人は決しておごり高ぶるような人物ではなく、感謝の心を忘れない、悲しみと慈しみをもった方だということが、たった一言のセリフでわかります。

 セリフだけで当時の社会状況や仏教界の様子をわかりやすく伝えてくれる、横内さんの脚本も素晴らしかったです。賤女おどろを通じて、一般庶民の立場から理想と現実の違いをつきつけた言葉は、現代の私たちにも共感できるものでした。

 照明も効果的でした。演者だけがぼんやりと浮かび上がる暗闇から、憤怒の表情に慈しみを忍ばせた日蓮聖人が意を決すると、日輪を背負うかのように照明が照らされます。

 歌舞伎ならではの深みのある表現で、当時の人々の苦しみだけでなく、800年後のコロナ禍における私たちまで救われるかのような、一筋の光明に感じました。

 日蓮聖人の人となりを知る書物はたくさんありますが、役者さんの熱量と共に発せられ、今の時代にも通じる「生きた言葉」を聞き、大勢の観客と同じ空間で共有できる有り難さを改めて実感しました。


◆和泉元彌さんプロフィール

一九七四年生まれ。和泉流十九世宗家和泉元秀の嫡男。
四歳の時「靭猿」で初舞台。史上最年少十六歳で秘曲「釣狐」、二十歳で大曲「花子」を披き、二一歳で宗家継承。
伊勢神宮をはじめとした神社仏閣での奉納、自治体主催公演、学生の鑑賞教室、万博をはじめ海外公演など狂言の普及につとめる。
狂言のほか、NHK紅白歌合戦の司会や、NHK大河ドラマ「北条時宗」を主演。
明治座・コマ劇場などでの座長公演など多方面で活躍。
ネスカフェゴールドブレンドのCMでは最年少出演を果たした。

現在、AMAZONプライムビデオ「ウルトラマンオーブ ジ オリジン サーガ」出演中。
今秋は、松平健主演・映画「文禄三年三月八日」(秋原北胤監督)に出演、上映を控えている。

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和泉元彌さん、ご寄稿ありがとうございました!

六月大歌舞伎はいよいよ本日が千穐楽。
チケットWEB松竹に、若干ではありますがチケットが残っているそうです。
ご都合の合う方はリンクよりお求めください。
詳しくは >>> コチラ <<< をご覧ください。

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